匠の技術
宮大工と普通の大工さんって?
多くの方々に「宮大工さんは、普通の大工さんとどこが違うんですか?」とよく聞かれます。
一般的な大工との違いの一つとして修行期間の長さが挙げられます。一般の大工と比べ、およそ3倍ほどの修行期間が必要です。
一般的な大工は3年を目安として一通りの作業を経験すると言われていますが、宮大工の場合は一人前と呼ばれるまで10年以上は必要であり、厳しい修行の日々を乗り越えなければいけません。
宮大工の仕事とは
宮大工とは、国宝や重要文化財の建築物、社寺の建築や修復に携わる大工で、神社仏閣をはじめとする日本の建築物は「木組み」工法で建てられており、大工の中でも最高の技術が求められます。
その、社寺建築で培った伝統の技術で建てる注文住宅は、お客様が求めるご要望やこだわりをより反映できることが魅力です。
宮大工がもつ技術の具体例
木組み
建物の骨組みにおいて、釘や金物を殆ど使わず、木自体に切り込みなどを施し、はめ合わせていくことで、木と木をがっしり組み上げていく技術です。木材の加工を全て「手刻み」で行います。それには「木を読む」という作業が大変重要です。木の生育常態やそれぞれの木の性質を読み、どういう用途に適すのかが決められます。「手刻み」された「継手」「仕口」と呼ばれる技術によって、材と材を強固に繫ぎ合わせ、地震の多い日本の環境から建物を守ります。
継手
木材の長さが十分でない場合に、長さを継ぎ足すときに使われる技術で、「腰掛鎌継ぎ」「台持ち継ぎ」「追掛け大栓継ぎ」など70くらいの種類があるとされています。これにはパズルを組み合わせるような複雑な知識と共に、正確に材を削る技術が要求されます。材をはめ込んでしまうと表面からは全くその複雑さは見えないばかりか、繫ぎ目も殆ど分らないくらい精巧なものです。
仕口
2つ以上の材をある角度に接合する技術で、土台と柱のつなぎ目、梁と桁のつなぎ目などそれぞれの材を組むときに使われます。「兜蟻掛け」「大入れ蟻掛け」などと呼ばれるものがあります。
手仕事の道具たち
野口工務店が先代からの受け継いできた誇り高き大工道具を紹介いたします。
これらの道具には、より良い家づくり・高品質の住まいにこだわり続けた「野口工務店の魂」が宿っています。
【墨壺】すみつぼ
丸太の文字や木材に基準となる直線や印などを引くために使われる道具。
【突きノミ】
木槌でたたくものではなく、突いて仕上げる道具。鉋などが使えない場所で使うことが多い。
【やり鉋】
鉋がない時代に使われていた道具。梁丸太などの仕上げに使用する場合があります。
【釿】ちょうな、ちょんな
手斧とも書かれる大工が木材の荒削りをするための道具。石器時代から存在すると言われており歴史ある道具である。長い木製の絵の先に刃がついていて木材をまたぐように立ち、クワで土を耕すような感じで振り下ろしながら後ろに下がって削っていく。欧米でも似たようなものがあり、英語ではadze(アッズ)と呼ばれているようである。
【鑿】ノミ
木材に穴を掘ったり、加工する場合に使用する道具。玄翁などでたたいて使う。
【彫刻ノミ】
神社仏閣で用いる彫刻などを彫るために使用する道具。
【鉋】カンナ
材木の表面を削り仕上げる道具。鉋を使いミクロンの削りの技術を競う「削ろう会」という全国で開催される大会がある。
【五徳鉋】
特殊な継手やホソなどの加工に使用する場合に役立つ道具。1台で5種類の使い方ができるから五徳という名前になっています。近年ではこの鉋を作る鍛治職人も少なくなっています。